建築について

国際会館のモダニズム建築U
自然が育んでくれた建築

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「国連総会議場のような国際会議のための建築を日本にも造ろう」という構想のもと、1963年、国による公開コンペが行われ、195点の応募作の中から大谷幸夫氏の案が選ばれました。
大谷氏の手記には、「比叡山を背景にした穏やかな山間の宝ヶ池の風景に、古都京都の風情を感じ、その風情を損なわないよう、自然の佇まいに設計の枠組みを委ねた。」とあります。「自然の体系のもとで、建築の在り方を検証する」といった自然との応答の仕方は、日本の建築の自然に対する伝統的作法と思われます。
台形・逆台形の空間の組合せで形づくる国際会館固有の建築的形質は、まさに自然との応答を介して導き出されたと言えるでしょう。周辺の山々の穏やかな曲線に対して、大会議場のスケールが大きく、四角形の形状のままでは異形のものが立ち現れたように感じられました。そこで、山肌に迫っていた議場の壁面を内側に傾け台形とすることで、必要平面積を確保しながら建物のボリュームを削り、周辺の山々を圧迫することを緩和しようとしたのです。
一方、事務局・控室などの会議場をサポートする空間では、深い庇をさしかけることで、快適な居住空間を導く日本古来の建築手法を踏襲し、その外郭線から逆台形となったのです。
さらに大谷氏は、「国際会議場とは、文化を異にする多様な国及び地域の人々を迎える大切な場であるため、わが国の文化的伝統形質を踏まえ、現代建築としての国際性・共通性が望まれる。」と、国際会議場に求められるアイデンティティについても述べています。
外観の独自性と室内の機能性を兼ね備えたこの建物は、その完成度を高く評価されています。