建築について

建築と家具U
国際会議場のための家具

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中小会議場のロビーに置く椅子としてデザインされたのは、私のスケッチブックの中で4〜5年間熟成させてきた、と言えば格好良いのですが、つまり何回もボツになったアイディアをやっと採りあげて頂いたものでした。様々な理由で何度も却下され、その度に何かしら改良を加えては再提案したものです。これも建築の肌合いとの格闘でしたが、成型合板の外部に柔らかいクッションをはめ込み、天井の低いロビー用に考えた小さめの安楽椅子と長椅子、それに同じ成型合板構造のテーブル類をデザインしました。

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我々は中小会議場用の机と椅子も担当しました。机は円形、長円形、馬蹄形にも組める形式にするため、移動も考え、ユニット化を提案しました。と言ってもあまり軽い感じではなく、国際会議に相応しい重量感を優先させました。ユニットを組み立てる時に、そのジョイント部分にあえて大きな目地で机面の不揃いを目立たせないディテールにも苦心しました。それにしても、現在のように移動組立が激しくなるとは想像できませんでした。
会議椅子はFRP製の総張りぐるみにし、軽量化を考えました。ただし、海外の体の大きな参加者が腰をはさまないかは設計段階で大議論になったことを思い出します。
他にも思い出すことと言えば、京の町屋に見かける犬矢来をバリヤー用具(スタンション)としてデザインしたことです。大谷先生の設計はとても良く考えられていて、見るからに複雑な空間構成のため、記者団と会議参加者との接触は少ないと考えていました。それでも抜け道はあるもので、バリヤーが必要な箇所があり、そのための用具は既製品ではこの建物に相応しく思えず、デザインすることにしました。軽量で持ち運びができ、重ねられ、進入拒否の意図が明確に伝わる事等を条件に考え、犬矢来をヒントに竹2枚の成形材をステンレスパイプの脚部にボルトで取り付けた、まさに犬矢来ならぬ記者矢来をデザインしたのです。
その他にも外部で使用する腰掛、屑入れ、灰皿スタンド等々を信楽焼きで製作しました。灰皿スタンドの中でも高岡市で作った鋳鉄製鼎形の灰皿の肌に霰をうまく図面化できずに困ったことを思い出します。それにしても40年も過ぎてしまった家具たちを丁寧に使って頂いたことに感謝申し上げます。

<寄稿文:剣持デザイン研究所 所長 松本哲尾氏 >