建築について

国際会館のモダニズム建築W
ラウンジのデザインとその役割

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1997年12月の京都。全体委員会は断続的に開かれては中断される、行方の見えない状態でした。閉会を目前にして焦りと緊張が交錯する中、国立京都国際会館のロビーやラウンジでは、水面下での折衝が至る所で繰り返されていました。エストラーダ議長が反対国の代表団に近づき、ラウンジのソファーに誘う光景も何度か見られました。
レベルの少しずつ違う各階の幾つかのラウンジに立つと、大会議場や中、小会議場にいる代表団の動き、3階通路の運営スタッフや報道関係者の動きが見えました。様々な人の動きが互いに見えることによって、会議場全体の状況を感覚的に捉えることができました。
そして会期を1日延長して全体委員会が終了し、徹夜で協議された案が本会議に提案されました。「京都議定書」はこのようにして採択されたのです。

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建物の約70%を占めるゆったりとしたロビーやラウンジなどのパブリックスペース。1階ラウンジより2階への階段途中からV字形柱を眺めてみると、力強い3つのVの柱の奥に輝く一筋の光が見えます。その光に天井から醸し出す間接照明の柔らかな光が相まって、ラウンジ全体の出す雰囲気は何とも言えないものがあります。外観の豪壮さから一転して、非常に落ち着いたものにまとめられています。
「フォーマルなものが会議場。ラウンジはインフォーマルな会議、会談、交流が行われる広場のような空間。」
建築家の大谷幸男は、フォーマルな会議場と対置して、自然のスペースがインテリア化したもの、建築化されたものと考えてラウンジをデザインしました。石垣のような扱いや苔の色を取り入れたじゅうたんなどはその表れと言えるでしょう。
会議と会議の合間にコーヒーを飲みながら交わされるインフォーマルなコミュニケーション。それはどのような会議においても、豊かな交流の場であり、会議を成功に導く大切な要素の一つなのです。