建築について

国際会館のモダニズム建築V
大会議場のデザイン

イメージ

4階まで吹き抜けた高い天井、広がりのある台形の構造、シンメトリックなデザイン。国立京都国際会館の大会議場は、そこに一歩足を踏み入れると、自然と背筋がすっと伸びるような心地よい緊張感があります。非常にフォーマルな雰囲気を持った空間です。
天井には天空に浮かぶ地球をイメージした円盤が飾られていますが、これは照明のための反射板です。また、この円盤によって天井に露出した梁の中央部を隠蔽することで、空間に力学的な安定感を与えているのです。 ステージ正面壁の左右にあるアルミのオブジェは万国旗を掲揚する旗竿です。旗竿をそのままデザインに使用することで、やや広すぎる議長壇回りの空間を小さく見せ、安定させたのです。ステージ正面壁の中央部分はV字でデザインされ、その中には様々な形状のアルミの鋳物ピースが埋め込まれています。これは、国際会議とはそれぞれが固有で互いに文化系や意見を異にする国や地域の人々の集まりから始まることを象徴しようとしたものです。
この会議場にはもう一つ特異な点があります。それはステージと客席の間にある階段です。この階段によってステージと客席を行き来することが可能なため、情報を発信する側と受ける側が一体化できる構造となっています。
これは、設計者である大谷幸夫が、「大会議場は各国代表の空間、議長の空間、傍聴者の空間の三つから合成されるとすれば、都市の'広場'と同じような性格を持たせてもよいだろう」と考えたからです。議長、代表、傍聴、報道、運営といった様々な人々が集まるスペース。都市の広場が幾つもの異なった建築に囲まれているように、幾つもの空間から大会議場は創られているということです。